ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

湯を沸かすほどの熱い愛 感想

TVでやってたやつ。

紙の月をみて以来宮沢りえさん好きなので気になったのと、

主題歌のきのこ帝国が好きなのと。

 

以下、内容に触れます。

 うーん、好きです。

 

いじめ、蒸発、血のつながらない親子、がんで余命数カ月。

こういうわかりやすいお涙頂戴ものって白けてしまうタイプなのですが、

この話はみせかたが上手でした。

役者さんたちの演技が好きだったせいもあるのかしらん。

宮沢りえさんももちろんなんですが、娘役の二人もお父さんのオダギリジョーさんも。

一番ぐっと来たのは、オダギリさんが「体は大丈夫なの?」(ニュアンス違うかも)

みたいな体を気遣うセリフを、ちょっと小声で言ったところ。

ものすごく小声とかじゃなくて、さっきまでの会話の流れで、

全然感情のせずフラットに言おうとしてるのに、ちょっと声が小さくて

動揺が透けて見える感じ。

あの一言でオダギリさんなんて素敵なのと思いました。

お父さんの、いい加減でだらしないけど、妻が大事で不安すぎて病気のことに

踏み込んでいけない子どもな部分がはっきりと。

 

この話のいいなと思ったところは、そういう流れでありがちな

「なんでお父さんはお母さんのお見舞いに行かないの!?まってるのに!」

「うるせえ!」(ほんとうは・・・おれだって・・・!でも、見てられなくて)

なんだかんだでお見舞いに行って「愛してるよ・・・」

みたいなシーンとかがないところ。

 

あまりにもあっけなく亡くなって葬儀のシーンになったのも、びっくりだけど

好きでした。

絶命の瞬間に娘たちにいろいろ言ったりして泣かせにかかる感じとかがなくて。

病室でのシーンも、お母さんは目線を動かすだけ。

あのシーンの杉咲花さんの演技もすてきだったなあ。

笑おうとするも涙が出てきて、でも必死に笑うっていう、ともすればベタになっちゃう

演技なんですけど、とても良かった!

あの笑顔は最高ですね。

 

そんなかんじでこてこての、言葉で持ってく泣かせシーンじゃないけど、

ちゃんと丁寧に細かい伏線を拾っていくようなお話。

最初に娘のスポブラを持って、「まだいいかな」とか「しゃーぶしゃーぶ」とか

「情熱の赤が好き」とか

ちょっとしたところを丁寧に丁寧に大事にしているお話は好きです。

 

ヒッチハイクの青年を抱きしめたところは若干ひいてしまいましたけど。

なにもそんながっつり抱きしめなくても、とは思ってしまった。

 

ラストシーンは賛否あるみたいですね。

ドン引き、と言っている人も多数いらっしゃるようですが

いいじゃんどうせ燃やすんだし、とわたしは思ってしまいました。

個人的にはかなり爽快!

もともとあのタイトルの字がいい字だなあと思っていたので、

炎をバックにあれが出てきた瞬間やるう!と思いました。

そして煙突、赤い煙、きのこ帝国!

エンディングもっとゆっくり聞きたかったな。TVだから仕方ないですが。

 

あのお母ちゃんの教育がサイコーだ!とは思わないですが、

あの人たちのことは、すきだな、と思いました。