初めての朝井リョウさん。
本当は新作の死にがいを求めて生きてるの、を勧められたのですが
図書館では人気で順番待ちだったのでこちらを。
以下、内容に触れます。
短編集だけど、登場人物がリンクしまくっている。
一人がちょっと次の話に出てくる、とかはよくあるけど
かなりガンガンに絡み合ってくるタイプでした。
なので、同じ出来事が違う目線で語られていたり。
表題作で、主人公が自主映画のワンシーンを経て生まれ変わったような
すごく未来に向かえるキラキラしたシーンも、
それ以前の話で別の目線からはその映画自体が馬鹿にされていて。
そこは衝撃でした。
メインのシーンが、他の話のせいでくすまされる苦さ。
何者の映画とも共通するけど、この人はほんとに「何者かになりたい人」を
描くのが好きなのだなあと。
何者かになりたくてもがいた人なのでしょうか。
「一年以上経ったというよりも、十三カ月経ったという感じ。
一年とかそういうくくりじゃなくて、成長しない一か月がとりあえず
十三回くりかえされた感覚だ(抜粋)」
この言葉、すごくしっくりくるなあと思いました。
そうそう、そんな感じって、ある。