ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

トロンプルイユの星/米田夕歌里 感想

ヨーロッパ企画の以前の公演名にもなってた、
トロンプルイユ、という言葉に惹かれて手にとったら
表紙がとても可愛らしかったので。
そして帯を読んだら面白そうだったので。
フィーリングで選んでみた本。
はじめて読む作家さん。
以下、内容に触れます。
んん、一気読みしてしまいました!
ずっと不安な感じがするのに、文体のおかげなのか
表紙のおかげなのか、登場人物の感じなのか、
あまり怖いという感じはせず、不思議な気持ちでわくわくそわそわ読みすすめました。

そしてなんとも切ない読後感。
なるほど、突然と思われる久坂さんの行動も、
主人公がその元カノだったと思うと合点がいきますね。
机をじっと見つめていたことも、元カノと再開したか聞かれて押し黙ったところも。

でも、久坂さんのことは完璧に忘れたかというと
そうでもないのかなというところにいくばくかの希望が。
久坂さんと行った、そして更に前のフェーズでも行ったカフェに行って、
久坂さんの飲んでいたメロンソーダを飲んでいたり、
ストラップがネックレスと同じようなものだったり、
何より例の交差点で、久坂さんの匂いを、好意的に感じている。
サンタの小さなイベント会社には、主人公と働いていた人たちがいたりしないだろうか。

灘さんが、アルバイトに厳しく言えないところはあるけど、
それでも素敵な上司だなーと思いました。
病んでしまったかもしれない部下に対して
かなり上出来なリアクションではないかと。
まぁ今回に限っては悲しめるだけでしたが。

久坂さんも、職場の同僚も上司も、
派手なわけではないけれどなんとなく身近で
魅力的なキャラクターだなと思いました。
素朴なのに魅力的ってすごい。

オレンジのスカートの人が…のくだりみたいに、
ほんとに何でもないシーンを「何かこれみたことある」
って思うことってほんとにあるので、
すごくいいところをついてる本棚と思いました。

なんだか好きだな、と思ったけれど、他には本を出されてないようで。
また何か出版されたら読んでみたいです。