ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

勝手にふるえてろ/綿矢りさ 感想

久々の綿矢さん。

以下、内容に触れます。

 何となく既視感、と思ったら、

田辺聖子さんの夜あけのさよならとちょっと印象が似ている。

現代版な感じ。

 

大好きな男はわたしを好きじゃなくて

そんな男と結婚しても幸せにはなれなくて。

と、そんな感じの冒頭なので、イチはクズ男なのかな、と思いきや、

よくよく読み進めると主人公がただ勝手にもりあがっちゃっているだけと

わかってくる。

別にイチと付き合っているわけでも何でもないじゃない・・・。

そしてさして気のあるそぶりをされているわけでもないという。

なのに勝手に震えてろとか思われるイチ君。気の毒。

 

いい奥さんになりそう、とか交流会(合コン?)でいってくるニ。

こういう男の人苦手。

自慢を自分でふってきて謙遜するニに

『頼んでもいないのにあざやかな手つきで手品を披露された気分になる。

で、隠された私のコインはどこへやったの?(抜粋)』

痛快なご意見。こういう男の人いるなと思うし、この例えの秀逸さ。

あとやたら運動したほうがいいとかどや顔で言ってくる感じ。

本当こういう人いるし、苦手(何度でもいう)。

『だめ出しされたうえかつアドバイスをされると、頼んでもいないのに

目の前でシルクハットから鳩を出された気分になる。

で、この鳩はわたしが育てなきゃならないの?(抜粋)』

ここも好き。鳩育てるの嫌だねー!

望まれている返答を返したら即座に打ち消して謙遜ぶったり。

めんどくさい男、二。

二の匂いがスープ系だから前世をおでんと予想したり、

主人公は面倒くさい女の子だけれどセンスがある。

本音で話し合ったらとても面白そう。

 

気のない二からもからっからに冷たくされたら好きになる余地があるかも、

というの、わかる。

あまりにも自分のことを好きな人というのは

好きになるのが難しい。

 

たくさん酒を飲むとおしっこが臭くなるからいやだとかわいこぶろうと思う主人公。

かわいこぶるの基準がおかしい、と思う私かおかしいのかしらん。

 

恋愛において、自分の直感だけを信じず相手の直感を信じてみる、という

考え方。なるほど、ちょっと、目からうろこ。

自分じゃなく他人の愛を信じるのは、裏切りではなく挑戦。

なんと前向きな考え方。

最後に二がちゃんと名前で認識されるところ、いいなと思いました。