ネットで見かけて気になっていた作家さん。
装丁が綺麗な本はいいですね。
以下、内容に触れます。
うーん、良い。しみこむようなよさ。
人が死ぬ本はあまり好きではないけれど、
この本はよい。
内容的にもよいし、感情移入しきったところで
突然死ぬ、とかではなくて初めから死を提示されていて、
それがお涙頂戴ではない。
死ぬ前の、最後の際に
「ぽちゃん」とちゃんと呟く律儀なナスミさん。
こういう、誰も聞いていなくても大事なことって好きです。
この本には、それが誰かに伝わったわけではないけれど、
でもそれは無駄ではなく絶対に大切だったっていう事が
多いと思います。
ナスミさんと夫の日出男さんが人を文字に見立てるような遊び好きです。
「そんなこと、できるでしょうか」
「わたしが見ててやるから、やんな」(抜粋)
ナスミさん、本当に格好いい。
ナスミさん、友達になりたい、というよりもこんなことが言える人になりたい。
ナスミさんになりたがった登場人物の気持ちがわかる。
「あんた、かわいいんだからさ、バカみたいに笑いなよ」(抜粋)
こういう台詞も。格好いい。
まだ失っていないのに、さきのことを怖がって生きてしまうけれど、
それはあまりに勿体ないことだなと思いました。
生きていくことも死んでいくことも大事にしていきたいです。