ネットで見かけて気になっていました。
2019の本屋大賞2位だそうで。
以下、内容に触れます。
大きな盛り上がりはないけれど、スルスル読める本でした。
文章がリズミカル。追加追加で。どんどん足して書く感じ。
ちょっと瀬尾まいこさんっぽい文体?
字の文がかたくないからかな。
ひと、っていうタイトル通り、いろんなひとを見せてくれる本でした。
日々出会うちょっと嫌なひとを、特に大きく取り上げるわけでもなく
するっと出してきたり。
ちょっと引っかかる行動も、いいとも悪いともいわず、描かれていたり。
その人を、その行動を、どれくらいいやだと思うのか何ともないと思うのか
はたまた面白いと思うのか、それをこちらにゆだねられている感覚。
「ぼろぼろ泣いた直後に検索。冷たいな、と思った。でもそんなものだ。(抜粋)」
これすごくわかります。
一人でバーッと声出して泣いた直後に真顔でお菓子食べたりしてる。
そんなもんです。
でもその時のその涙は嘘ではないのです。
ドラムの清澄君とそのお母さまいよ子さん、本当に徳が高い。
これがプリウスなんだ、という主人公に対する
「納車されたときにおれもそう思ったよ。あぁ、これがプリウスなんだって。(抜粋)」
これ。
この謙遜するでも自慢するでもないフラットな返し、素敵。
「人は空気なんて読めない。よく考えればわかる。そこそこ仲がいい友だちが自分をどうとらえているかさえわからないのに、空気なんて読めるはずがないのだ。(抜粋)」
そのとおりだなと。
空気が読めるという自負がある人ほどあやしい。
それはあなたが作り上げたあなたの中の世界の「空気」なのでは、と、思います。
コロッケが食べたくなる本。
「まち」という本もある様子。読んでみようかしら。