芥川賞をとってよく本屋で平積みされていた本。
表紙が暗いので、話も重いのかなーと手に取らなかったのですが
出版から数年たって図書館で目にしたので読んでみました。
以下、内容に触れます。
おっと、なんだか思ってた感じと全然違いました。
これはなかなか衝撃作。良い意味で問題作。
おもしろい気味の悪さ。
帯に、狂気と紙一重の滑稽さ。と書かれてましたけど、確かに。
人によって結構受け取り方違いそうですが、私は
「気味悪い・・・怖い・・・」というよりかは
「いやいやホラーかよ!ヤバ!笑」という感じで面白がって読ませてもらいました。
はじめはむらさきのスカートの女を変だと思って読み進めていたけど、あれ、これはもしかして・・・?と思う過程がすごくわくわくぞわぞわしました。
角田光代さんの「愛がなんだ」とかも、相手がクズかと思いきや実は主人公も狂気をはらんでる、みたいな感じでしたけど。
そういう主観側の狂気が見えてくる本が割と好きかもしれないと気づきました。
想像力を掻き立てられるというか、かなりこちらにゆだねられていますが
個人的には
・バザーの犯人は黄色いカーディガンの女
・そもそもむらさきのスカートの女って別に有名じゃない
(まちでの噂は黄色いカーディガンの女の妄想では)
・むらさきのスカートの女はよくあるステレオタイプのやばい女
(不倫して鬼電、職場での態度変容、人のシャンプーに嫌味いったり)
・だけどさらに黄色いカーディガンの女の方がやばい女
・黄色いカーディガンの女と名乗ったときに「あなたが黄色いカーディガンの女?」って思われたと妄想してるけど、実際は「・・・はあ?(ぽかん)」だった
・そもそもむらさきのスカートの女はそんなにむらさきのスカートはいてなかった。
という感じで受け止めました。
でもこれだって自分で納得したくて無理やり決めたけど、
私の勝手な決めつけで妄想なわけで。
所長だって下着泥棒だし、周りのチーフだって細かい備品泥棒だし
何をもってしてやばい奴と思うかって、やっぱりその人との関係性でも
かわってくるし、自分も同じことをしてるかしていないかでも
かわってくるし。
善悪とか「狂気」の判断って曖昧模糊で難しいものだなと思いました。
まあ黄色いカーディガンの女は誰がどう見ても狂気でしょうけど。
むらさきのスカートの女の家を見張って所長が泊まるかどうかを毎日見張ってるのも
怖かったですけど、泊まるかと思ったら二時間で出てきて、みたいな描写が
一番怖かったです。
いやいや、家に行くまでじゃなくてそこから何時間も見てるんかい、という。
それにしても黄色いカーディガンの女って、本当に黄色いカーディガン着ていたのかしら、と思います。
黄色いカーディガンって結構目立つと思うんだけど全然気にされていないというか…。
本当は着ていないのか、着ていてもよほど目立たない(所長の病室で気づかれなかったように)のか、気づかれて無視されているのか。
あとむらさきのスカートの女がシャンプー使ったのもちょっとどうなんだと思いましたけど、
まあそこは貧乏だから多少不信でも使ったのかな…。
表紙が白地に黒の水玉というのもなぜなのか。
いろいろ勘ぐっちゃいます。
今村夏子さん、他の本も気になります。