ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

星を編む/凪良ゆう 感想

汝、星の如くの続編ということで楽しみに読みました。

以下、内容に触れます。

先生の過去。そうだったのか、と言う感じ。

これは前作を書いていた時からあった設定なのだろうか…

もともとこれを書く予定だったのかな。

 

先生の、周りにやさしく身内である息子を結果的に苦してめてしまう両親。

自分より周り、という考え方は自由だけれど、

それで子どもを後回しにしてしまうというのは、

子どもを自分のものとして捉えてしまっているということ。

「どう愛そうと完璧にはなれないのなら、もうみな開き直って

好きに生きればいいのだ。

そうして犯した失敗なら納得できるだろう。(抜粋)」

この先生の考え方は瞳子さんにも通ずるものがあるなと。

 

二話目は編集二人のお話。

この離婚した夫の合理性…。

今どきな「正しい」考え方ではあるのかもしれない。

これを糾弾するのはある意味古い考え、と言われかねないけれど

それでもやっぱり恐ろしく感じてしまう。

何も言っていることは間違っていないのだけれど。

両親へのプレゼントを忘れていたことに対して、

する必要ないという夫の冷ややかさに

違和感を覚えることもあれば合理的だと思うことがあって、

それは結局自分の都合だな、と冷静に理解できている絵理さんは

偉いな。都合のいい考えの自分を見つめられない人は多い。

 

そして、最後の、前作の先となる話。

「約束なんかしたら、荷物になるやろ(抜粋)」

この言葉は本当に櫂の人となりが出ていて切ない…。

荷物をしょい込むだけしょいこんだ人だからこそそう思うのだろうけど、

君はもっとわがままを言っていいんだよと言ってあげたい。

死の間際に他人の荷物を思いやれる櫂の気持ちに胸が苦しい。

 

「いかに自分らしく生きたか、最後に残るのはそれだけよ(抜粋)」

相変わらず格好いい瞳子さん。

結局そうだよね、と頷いてしまう言葉。

 

仕事仲間の向井君。櫂を忘れるのが怖いとか言ってくるのに対して

「自分の価値観の中で整合性の取れる物語を作る、

それが一番簡単で気持ちのいい他者への理解の方法だからだ。(抜粋)」

とバッサリ考えている暁海。

これ、他人事だから、向井め…って思えるけれど、

じぶんもこういうことやらかしちゃってる時あるだろうなとは思う。

向井君と仕事のことでわかり合ってそのままひかれあったら

ちょっとやだなと思っていたのでよかった。

 

そして、北原先生との変わっていく関係性。

櫂のことが好きなので、少し寂しい気持ちもあったけれど、

でも櫂のことももちろん大事にしながら、

それでも生きていれば変わっていく関係性のなかで

幸せになる暁海ちゃんがみれて、やっぱりよかったのかも、と思った。

早世してしまった相手を、一生その人だけを愛し続けるなんて方が

ドラマチックかもしれないけれど、暁海ちゃんは

それからもずっと生きて生き続けるんだから。