ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

ふたり、この夜と息をして/北原一 感想

初めての作家さん。

インスタで感想を見かけて気になったので。

 

以下、内容に触れます。

表紙の写真は神木隆之介さん撮影だそうで。

読む前はふーんと思っていましたが、読み終わって表紙を見ると

本の内容ととても雰囲気があっていて素敵だなと。

 

「他者の孤独に名前をつけることはできない。してはならない。(抜粋)」

これはとても共感。

それこそ主人公の悩み、孤独は、見る人によっては

そんなに気にすること?で終わってしまうこともあるかもしれない。

だけど、その人の孤独やその人の地獄は、その人にしかわからない。

 

夕作が槙野に対して、優しいと言っているのに、

そういう風に言われることで余計に惨めになるという槙野さん。

夕作は本気なのに、だけど、それが伝わらなくて、

自分に自信がなさ過ぎて、自分のことをダメだと思いすぎて、

信じられなくて、というシーン。とてもリアル。

 

自分が成長するため、とかじゃなくて、

槙野が自分を惨めだとか汚いとか言わなくていいように、

カミングアウトで雨の中に進む夕作。かっこいい。

 

「これまで槙野が受けてきた傷や心の在りようを理解するだなんて、

そんな傲慢なことはできない。今の自分にできる

唯一の正しい行いは、感謝を伝えることだけだ(抜粋)」

すごーく真摯な向き合い方。

そして、これをするのはすごーく、難しいこと。

真摯に、まっすぐ、あなたと会えた幸せを伝えること。

 

「頑張るっていうのは、何かを成し遂げたり、成果を得る

ということを指すだけの言葉ではないよ(抜粋)」

保健の野原先生。素敵な言葉。

こういうことをさらっと言える人でありたい。

 

派手ではないけれど、すごく優しいお話だった。

言葉選びが優しい。

 

青春、いいね。