ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

草原のサーカス/彩瀬まる 感想

おなじみの彩瀬さん。

以下、内容に触れます。

前に読んだ珠玉もアクセサリーの(宝石がメインだったけど)お話で

今回もアクセサリーデザイナーが主人公の一人でしたけど、

彩瀬さんがお好きなのか、何かかかわりがあるのかしらん

 

会社や組織は無理して張り切らなくてもそれなりに生かしてくれるようになってるのに

なぜ嫌な思いしてでも出世したり認められたいと思ってしまうのか。という部分。

うーん、確かに。

あいつらばかり楽して、頑張ってるほうが損するじゃないか、といいつつ

それでも頑張ってしまう自分っている。

 

特別なことは言っていない、皆みたいに当たり前に子を産んで育てるっていう

普通のことを頼んでいるだろう、と怖がる依千佳の夫。

これは結構多数にある目。だけどその普通を押し付けられる方だって

充分怖いのだということをわかってほしい。

 

女性デザイナーが活躍すると「稼がなくていいから気楽だ」

男性だと「人生をかけている」とみる世間。

根深い。

 

警察の取り調べのシーン。

警察側の真摯な言葉に、感動してすべてを洗いざらい話すのではなく、

「あなたが今、一ミリも心を揺らさずに、本当はかけらもそう思っていないことを

口にしたって、分かるよ」(抜粋)

と、自分もそういうことがあったから、と共感する依千佳。

同じ仕事人としての目線。

 

「正しさでなにかを選ぶのはだめなのかもしれない。

(中略)その考え方の、行き止まりのようなものがうっすらと見えた。」(抜粋)

仁胡瑠がそう思ったように、確かに、正しいことはいいことだって

子どもの頃からずっと教わってくるわりに、

おとなになると正しさでの選択は間違いなことが多い。

 

姉妹二人とも、それぞれデータの改ざんやストーカーを行ったお互いのことを

そんなはずない、そんな人間じゃないと思うシーン。

どれだけ長い時間を過ごした相手でも、

血の繋がった相手でも、

思いもよらない部分ってあるんだろうなと思います。

自分に対してでさえそうなんだから。