ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

川のほとりで羽化するぼくら/彩瀬まる 感想

好きな作家さんの彩瀬まるさん。

 

以下、内容に触れます。

一つ目の短編が特に好きだった!

この夫婦のありかたがすごく好きだなあと思いました。

 

「気になっていたのに、そんなゴミ一つ片づける気力すらなくなっていたんだ、と

今更気づいた(抜粋)」

とてもわかる。

拾ってゴミ箱に入れるだけ、とか、ちょっとそこの棚に置くだけ、とか

そういうことが、疲れちゃうとできなくなる。

皆あるあるなんだなと思うと安心します。

 

子どもの世話が思ったより大変だと気づいたと素直に言える夫も

料理も掃除もしてもらったことを夢みたいに嬉しいと屈託なく言える妻も

いいなと思います。

そして感情をぶつけた後に、しっかり謝れて、ちゃんとわだかまり

ないようにできる。難しいけれど大切なこと。

 

妻側が収入面での責任が増えて、それで子と夫が元気に過ごせるなら

それは今までよりも深く相手の人生にかかわっている気分になると

それが

「なかなか官能的でいいよ、興奮する(抜粋)」

といえちゃう妻。しかも大真面目に。素敵です。

 

「変わり者で、翻って先進的で、性別のイメージに囚われないタイプだと

思っていた咲喜が、こんなことを言うなんて(抜粋)」

私も性別によってこうだと決めつけられるのを嫌がるタイプで、

夫婦での役割は二人でちゃ

んと決めていく、世の固定概念は無視して。

と思っているタイプですが、やっぱり周りを見ていると

私はこんなことでいいのだろうか、妻として至っていないのではないか

そんな風に後ろめたくなってしまうときがあるので

とても共感しました。

ぐらぐらしちゃうときありますね。

 

ほかの話もファンタジー度がそれぞれ違って世界観をつかむまでちょっと

時間がかかったけれど、すべて川のほとりのお話で。

橋を渡ったり渡らなかったり。

皆きめつけられた何かにがんじがらめになりたくなくてもがいて

羽化していくお話。

本のタイトル、読んだ後はより素敵だなと思います。

 

最後のお話。

「いいか、お前は俺より一日でもいいから長く生きろよ。

一人で残されたって困るからな(抜粋)」

これって、関係性によってはものすごい愛の言葉にも見えますが

この関係性では本当にただのわがままな横柄な発言でしかない。

本当に「困る」から言っている。

こういう、例えば仕事で偉かったからって、世界中どこでも

すべてのシチュエーションで自分が偉いと思っちゃう人

本当に嫌です。

 

推しの雄姿を観て、明日の気の重い会議が頑張れるとべそをかくみれちゃん

とっても共感できるしとってもかわいいです。

そうそう、どうにか自分を鼓舞したいとき、

推しは力になるのよね。

 

彩瀬さんやっぱり好きです。