ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

嫌いなら呼ぶなよ/綿矢りさ 感想

以前テレビで紹介されていたのを見て。

久しぶりの綿矢さん。

 

以下、内容に触れます。

これはなかなかすごい本。

笑っちゃう。

 

眼帯のミニーマウスの文体、くだけ方がちょうどよくて

面白かったです。でも、もうちょっと上の世代の人だと

よくわかんないところもあるのかな。

ブリッジにぴえんマークがいるのもいい感じ。

 

コロナ前は、人が意思を伝えてくるのは目だと思っていたけど、

マスクをするようになって案外口だったんだなと思う、というような

内容があって、これはとても共感。

目は口ほどに物を言うって言葉があるけど、

「目は口ほどに物を言わなかった(抜粋)」

口が隠れていると

すごく隠れている感じがする。

 

「そんなポーズだけ先輩ぶっても、後輩の誰も君のこと尊敬しないから(抜粋)」

このyummy係長の指摘が最高過ぎる。

こんなふうにバッサリ言ってくれる人が職場にいたら大変助かる。

でも言われた主人公に響いて無い感じがすごい怖い。

 

「自分の立場や権利を正論で勝ち取るぐらいなら、ぼろくそ言われてる方が

ましなのだ(抜粋)」

これ、なんとなーくわかる部分ある。ムキになったりその土俵に立つ

ダサさ、みたいな。もちろん自分をちゃんとまもるべきなんだけど。

 

悩みを人に相談することもリカバリーになるけれど、

逆に人の悩みに自信満々にアドバイスすると逆セラピー効果がある、という話。

うーん、これも、浅ましいけれど、案外あるのかも。

本当に心配でアドバイスもちろんしているんだけれど、

どこかで気持ちよくなっている自分がいるかもしれない。

 

神田タは、一番タイトルが好き。

 

嫌いなら呼ぶなよ、すごく面白かった。

この不倫男の脳内、絶対に自分では思いつかない思考と言うか。

反省せずに繰り返す人間ってなんなんだと思うけれど、

ほんとうにこういうこと考えているのかなと思うと、

一生相いれないなとも思う。

もちろん周りの人たちがじゃあ正しいかと言われると

そっちも気持ち悪かったりするのだけれど。

 

それにしても、コロナが始まった頃の、

倫理観というか、コロナとの付き合い方は本当に多様で

けっこう仲のいい相手でもその温度感を間違えないように

付き合うのが難しかったなと言うことを思い出しました。

 

「焦点が涅槃じゃない(抜粋)」は、

ワードセンスがすごすぎて。使いたい。

 

老は害で若も輩。

読んでる分には面白いけど、巻き込まれたらと思うとぞっとする。

内田君のその後に幸多からんことを。