お気に入りの彩瀬さん。
ネットでの感想で良さそうだったので。
以下、内容に触れます。
短編集なのかなー、と読み始めて、
一つ目のお話が結構さらっと終わってしまったので、
えー、もうちょっと読みたかったなと思ったら、
同じ登場人物たちの出てくる連作でした。
すごく読みやすかったし面白かった。
光の表現が切ないけど優しい小説でした。
「就職するまで露見しなかっただけで、自分は根本的に、
社会から排斥される弱さや醜さを持っていたんだ。(抜粋)」
これ、すごく苦しい。
でも、社会に出ると、そう打ちのめされてしまうくらい
他人に対してすごく排斥的な態度をとることを
何とも思っていなさそうな人たちがいるのが現実。
誰もこんなこと思わないでいられる職場にしたい。
自分が変えられるのは自分の運命だけで、
子どものそれはその子が背負うしかなく、親はそれに
敬意を持つしかない、だから自分を満たした方がいいという話。
そうかもしれない。
愛と敬意をもって、その子の歩みを見つめるしかないのかも。
どうこうできると思うのは傲慢なのかもしれない。
自分を過度に犠牲にすることは家族を守ることにはならない。
玄也が、茅乃の娘の菜緒に対して、他の友人二人を紹介するときに、
「俺より……」と言いかけて
「俺とは、違うタイプの生き方をしてきた大人(抜粋)」と言い直すところ、
さらっと描かれただけだけれど、嬉しかったです。
玄也がちゃんと自分を大切にできているなと。
登場人物、皆全然完璧じゃなくて、でも皆素敵な人たちでした。
そして、この四人の関係性はとても素敵で、心地よかったです。