凪良ゆうさんの新刊。装丁も綺麗だったので買ってしまいました。
以下、内容に触れます。
けっこう厚みがあったんですけど、寝る間も惜しんで一気読みしてしまいました。
凪良さんの、どの作品にも通ずる
「どんなに周りから変に思われようと自分の好きに生きる」
というテーマはやっぱり一貫していて、素敵だなと思います。
お金では買えないものはあるけど、自分でお金を稼いでいれば誰かに
依存しなくても自由でいられるという瞳子さん。
本当にそう。
わたしも、専業主婦になればいいのにと言われることもあるけれど、
お金だろうと家事だろうと、自分一人でも生きられる力はずっと持っておくべきだと
思っています。
「振り返らずに家を出た。これ以上一緒にいたらお母さんを傷つけてしまう」(抜粋)
ここの暁海ちゃんが本当に…
傷つけてしまう方を選べない、優しいんだけど、そんな風に生きないでと
思ってしまう。
でも
「切り捨ててしまえば楽になれるが、切り捨てたがゆえの罪悪感が生まれるだろう。
俺たちにできるのは、結局どちらの荷物を持つか選ぶことくらいだ」(抜粋)
と、櫂が感じているように、
傷つけてしまったら結局それで傷つくことになる、
どっちにいっても苦しい。
だれのせいにもしない暁海の
「--わたしは、いつまでこんなふうなのだろう。」(抜粋)
が辛い。誰かのせいにしてしまえない暁海の、このやさしさ。
でも、まっとうな大人が「褒めてる意味ではない」やさしさ。
恋愛関係で、強気に出られるものがないから、浮気なり勝手を許容
せざるをえないというのは、なんとも馬鹿馬鹿しくも
「ある」話なのだろうなとくるしくなる。
結ちゃんの
「ひとりでも生きていけるようになりたいだけで、ひとりはいや」(抜粋)
この台詞がすべてだと思いました。
ひとりはいや、だけで行動しても、ひとりでも生きていける、だけで行動しても
つらくなる。
ふたりが一緒に花火をみられてほんとうによかった。
あのシーンは、わたしも、早く花火上がってと苦しくなるぐらい祈りました。
人が亡くなる本はつらいけど、でも、花火が見られて、
暁海とのことを描いた本が出せて、それが暁海の手に渡って
幸せなラストだったと思います。