ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

ヨーロッパ企画第41回公演 あんなに優しかったゴーレム 感想

2022/9/18 sun 京都府立文化芸術劇場にて

 

おまけトークショー付きの回。

ゴーレムの初演はDVDで観たことがありましたので、

笑う気満々で観劇に挑みました。

 

以下、内容に触れます。ネタバレ全開で書きますので

未観劇の方はお気を付けください。

いやー、めちゃ面白くなってましたね!

びっくりした!

もともと、笑いが多くて面白い演目ではありましたが、

サイコな部分が多く出てきてメリハリがあってとても楽しめました。

初演でちょっとダレるなーと思ってしまっていた

地下の、博士と語り合うシーンがキュッとなって

かわりにいろいろ刺激的なシーンが出来てて最高でした。

再演でこんなに面白くなるなんて。

 

結構現在のコンプライアンス的に大丈夫かと思うような発言が

初演で多かったのでどうなるのかなと思ってましたが、

普通にキチガイとか言ってましたね。

宗教かなぁとか言いだすところは、

ご時世的に今だからこそよりソリッドだなという感じ。

でも、「まあでも自由だから」みたいなことも言ってて

その辺は今のリアルなリアクションの感じがしましたね。

プロデューサー中川さんが暴言はいて、博士の角田さんが怒るけど、

捨て台詞かと思いきや謝るまで去ってくれないのすごく好きでした。

あれくらい強気、大事。

 

序盤の、神崎を軌道修正しようとしてどんどん深堀しちゃう石田さんを

諏訪さんが撮ってるところとても好き。

 

初演でもペガサスが個人的ナンバーワン爆笑ポイントでしたけど

わかっててもペガサス笑っちゃうなー。大好き。

あれ前見えるんでしょうか。

中川さん追い返しながら誘導してあげてるのかな。

 

ゴーレム、でかい。

 

わりとおっとりで流されがちな初演のゴーレム少女西村さんに比べて

もっと今どきの学生っぽいゴーレム少女理子ちゃんでしたね。

そりゃ怒るよ。

お金ジャンジャン渡されてるシーン面白かったです。

なんか諏訪さんすごい量渡してたような。

 

亀島さんが地下に潜るときに落ちるハプニングありましたが

お怪我無かったようで何より。

亀島さんは髪の色がちょっと青みががってて、

ゆめかわいい感じで、ペガサスとの親和性ばっちりでした。

本多さんの時よりちょっと強気な音声さんな感じでしたね。

ペガサス見つけて飛び跳ねてるその飛び跳ね方が

めちゃくちゃよかったです。勢いすごくて。

ギョエーの時よりしっくり馴染んでいて亀島さんとてもよかったです。

亀島さんまた出てほしいな。

 

照明さんは、土佐さんの時は本当にゴーレム信じてるの理解できなさ過ぎて

はあ?っていうヤンキー感ある感じでしたが、

金丸さんは煽ってる感じが強めでまたちょっと違う感じ。

レフ板って初演は持ってたっけ?

 

なんかスタッフ役陣はストライプとかボーダーとか多かったですね。

中川さんの太目ストライプジャケットが嫌なプロデューサーって感じで

よかったです。

 

中川さんの「俺かもしれないよ!?」は初演から大好きなセリフなので

もっとうけてもよかった…

 

最後の、キャッチボール後のみんなの虚無っぷりが大好きです。

特に中川さん。

ポルカの王子を見ちゃったあともだけど、虚無中川さん大好きです。

 

諏訪さん、浴衣の帯、長くしてもらえたんですね。

 

石田さんが語りだすところ、話してる内容自体はちゃんとしてるんですけど

え、なんでここでそんな主人公の締めみたいな、って思ったところで

ちゃんと中川さんが突っ込んでくれたので安心しました。

あのシーン好きです。

 

少女のお部屋がちょっとかわいくなってましたね。

 

中川さんがカメラのレンズ隠して中川さん蹴って逃げていくとこ、

逃げ足早すぎて面白かったです。

 

神崎投手は、初演はもっとかわいい感じだったのに、だめな感じになってたなー

嫌なやつ。

でも、もしかしたら初演時は友達と絡むシーンがなかったからそういう面が

見えてなかっただけで、ほんとうはあの初演の神崎も

ああいう人間性だったのかも…?

 

そしてなんせ今回は新しく追加された話がよかったですね。

ゴーレムに娘育てさせて!って暴露された瞬間

観客の時が止まりましたね。

そして、ゴーレムが人を殺しちゃったかもってなって、ざわざわ。

でも、一番怖かったのは

「ゴーレムなんていないのにゴーレムに殺人を・ホテルへの嫌がらせを・

子どもを捨てていることを擦り付けて逃げているだけなのでは」

とぐるんとひっくり返された瞬間。

ゾッとしましたね。

ぷよぷよみてる永野さんじゃないけど「鳥肌立ってまーす」状態でした。

 

ゴーレム少女の「もうほっといてよ」という叫びが切実。

これってとても難しい。信じてるものなんて別に自由だし

何が正解かなんて他人が決められることではないから

放っておいてあげたい気持ちもあるし、

でももしゴーレムが存在せずに少女が本当は地中で一人で暮らす中学生なら

救いの手を差し伸べず見て見ぬふりをするのがよしとは

ならないだろうとも感じてしまうし。

みんなの信じているものが違うからこそ難しい。

 

今回はタイトル通りゴーレムのやさしさについてもかなり言及されてましたね。

皆の願いをかなえてあげたい優しゴーレム。

テレビクルーを追い返さないし、

女将のためにホテルの風呂は泥だらけにするし、

神崎のために子どもを育てるし、

ツカモトのために人を殺すし。

それは全部ゴーレムのやさしさ。

人の思いや立ち位置、見方で世界はいくらでもかわるんだな。

 

今回はゴーレム博士が結構ぐらぐらしてたのも面白かったです。

博士は信じ切れないんでしょうね。

インチキとか誰かをだましたいとかじゃなくて、

人生をささげてるからこそ、決定的な否定を感じてしまう恐怖がずっとあるような。

 

なんやいろいろ書きましたけどでも、とにかくさすがは名人芸という

あっぱれな会話劇でした。テンポ!

たくさん笑いました。

 

 

おまけトークショー

短パン率高し。

角田さんが役名言うときに「ハクムラ〇〇(下の名前忘れました)役の角田です」

って言いだして、何事かと思ったら

ゴーレム博士が地上で渡してる名刺に書いてあるんだとか。

 

最後にグリフォンがゴーレムの頭に止まって終わりというパターンも

考えたと。

それはそれで面白そうだけど、

あのラストが好きなのでラストかわってなくてよかったです。

でも、そこまでの過程が初演より「いる・いない」を揺さぶられるものだったので

ラストが同じでも初演よりも味わい深いラストに感じました。

あと、下手上の車のキャラがしゃべりだすラストも考えたとか。

いつか上田さんが物の擬人化がどうこうって話してたの

なんだったか…ゴーレムのコメンタリー?

なんかそんな話どこかで聞いたなって思ったんですけどはっきり思い出せず。

ゴーレム少女が神崎の娘っていう案もどこかで聞いたことあるような…

気のせいなのかな。

本当に記憶というのはあいまいなもので。

 

土佐さんは一生ツカモト役でもいいくらいしっくり来てると。

確かに大変お似合いな役でした。

鉄腕ダッシュにでてくる村の人たちが参考になっているとか。

 

角田さんのスプーン曲げ、いつの間にかできるようになってたみたいな話があって、

どこまで本当の話なのか。

角田さんの底知れなさ。

 

最後は観客皆目を瞑って、ゴーレムがいるかいないか挙手することに。

土佐さんが「3 どっちでもいい」もいれようやと言っていましたが

中川さんがプロデューサーばりに「2択で!」と言い切っておられました。

けっきょくどうやらいる派が多かったのか

中川さんが小さめの声で「やばい奴しかおらん」っておっしゃってました。

 

あー、とても面白かった。本当に好きな公演。