ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

ペーパー・リリイ/佐原ひかり 感想

初めて読む作家さん。

インスタで激推しの感想を書いている方がいて気になって。

 

以下、内容に触れます。

すがすがしい爆走ロードムービー!いや、ロードノベル?ロードストーリー?

なんせ勢いがあって、こちらも一気に読んでしまいました。

 

つまらない女、キヨエ、という感じに初めは書かれていたけど、

歌激うまで、足激はやで、そして最後はああいうオチ。

おもしれー女キヨエでしたね。

歌のチョイスも絶妙すぎて面白かった。

ただ、パチンコにはまってたり、刺さることを言われて赤面したり、

そういうのは本当に持っているキヨエの姿で、

だからこそ最後のオチで、キヨエやったじゃん、と。

ポップとかでどんでん返しとか書いてあるところもあったみたいですが、

個人的にそういうの知らずに読み始められてよかったです。

 

「あたしはそのとき、はっきりと、自覚を自覚した。」(抜粋)

わからないふりをしていただけだということをわかってしまうシーンが

切なかったです。

 

「あたしを励まそうとしているのはわかる。でも、今のあたしはえなっちゃんに裏切られたショックやら信じ切っていた恥ずかしさやら、振る舞いの滑稽さやらで、その励ましに応えられるだけの余裕がない。」(抜粋)

わかる。めちゃめちゃわかる。

もう励まされることさえ恥ずかしくてやめてほしいみたいなときあります。

もうとにかくなかったことにしてくれって。一人にしてくれって。

ひとりであああああってなっちゃうとき。

 

「加害者のくせに。自分の傷をさらすような真似をして同情を引く禁じ手を使った」(抜粋)

加害側のときに、逆手をとって、かわいそうにみせるって有効かもしれないけれど、

絶対に後でずるいことをしてしまったっていう罪悪感が生まれる。

 

「与えて、返されなかった感覚が新鮮で。あー、なんか、ありなんだな、って。こうやって逃げちゃう人もいる、逃げちゃうのもありなんだなあ、って」(抜粋)

これは、結構キヨエにとって大事な気づきだったんだなと思います。

もちろん詐欺は許されちゃいけないし、詐欺にあって良かったなんてことはないけど。

でも、「逃げるのあり」って、知ってる人と知らない人とでは、生きるときの

しんどさみたいなものが結構違うと思う。

逃げてばっかりで自分のことばっかりの人生も嫌だけど、

ちゃんと返し続けなきゃって思ってしまいすぎる人には、逃げちゃえって言いたい。

 

面白かったです。別の本も読んでみよう。