初めて読む作家さん。
瀬尾まいこさんがすきなのですが、新しい作家さん開拓したいなーと思って、
瀬尾まいこさんを好きな人がおすすめしている本を検索したら、
綾瀬まるさんの「桜の下で待っている」という本が気になって。
でも本屋さんでは見つからなかったのでこちらを。
以下内容に触れます。
これは久々のヒット・・・!
好きです。読み終わったそばから、また読もうと思える本。
5つのお話。短編集だけど、1話の登場人物が2話に出てきて・・・とつながっていく。
こういうの好き。最後が最初とつながって輪になるのもまた良し。
何が凄いってこの本は色彩鮮やか。
「指のたより」と「やわらかい骨」に出てくるイチョウは鳥肌もの。
読み終わった後に本の装丁をみると、さいこーー!美しい!と思う。
わたしは普段本を読むとき、そんなに細かに景色をイメージする方ではなくて、
とくになんとなくグレーがかった暗いぼんやりしたイメージをしながら読んでいることが多いのだけど、
綾瀬まるさんの文章は、ぱっと目の前に色が飛び込んでくるようでした。
こんな感覚は初めてでびっくり。
イチョウは特にメインで扱われているけど、他にも「ばらばら」の息子が床に叩きつけたランドセルの中身。
「十円玉とクレヨン、紙粘土の恐竜、匂い付き消しゴム、ゲームカードやバネ付きのロボット玩具。色鮮やかで細かなもの、大事にしてきたものが花火みたいにフローリングへ弾ける。」(抜粋)
これも自分が目の前に叩きつけられたみたいな気持ちになった。
物のチョイスもすごくぐっとくるし、「大事にしてきたもの」っていう言い方もたまらなく好き。
細かい言葉の選び方が凄く好みなんだと思う。
「古生代のバームロール」の「皆を見送る玲子の肩からすとんと力が抜けるのを見た。」(抜粋)とか。
肩からすとんと力が抜けた「ようだった」とかじゃなくて「抜けるのを見た」っていうのが、好きだなあって。
どのお話も好きだったけど、最後の「やわらかい骨」は気持ちがきゅうっとなりました。
どうしようもないことだし別に自分では何ともないと思ってたのに、別に哀れまれる覚えもないわ、と思ってたのに、どこかであーーやっぱしんどい!って思ってることって、あるなあと思う。
そんな自分が嫌だと思うことも、ある。
小春ちゃんと悠都くんが少しぎくしゃくした後、電話で悠都くんが謝りすぎないのもすごく素敵だった。
ほんとにごめんね・・・ってつい重ねて謝っちゃいそうになるところだけど
「読んでくれて、ありがとう」
なんていい男。
「指のたより」の「だれもわかってくれない」。
この後、愛だとか幸せだとか感謝だとか、そういうよく出てくるきれいな言葉につながらずに「うらまない」。
意外だったけど、すごく納得だった。
変に取り繕ってない、葛藤も見える言葉。
うん。いいもの読みました。
綾瀬まるさん、長編も読んでみたいな。