ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

ワーカーズ・ダイジェスト/津村記久子 感想

この前読んだ「とにかくうちに帰ります」が面白かったので、

津村記久子さん2冊目。

 

以下、内容に触れます。

 タイトル通り、この前読んだ本に続いてまた働く人の物語。

 

うん、この人の文章はサラッとしていた読みやすいですね。

そして、重すぎない。苦しすぎない。

ちょうどいいくらいの、日々のちょっと嫌な感じとか

しんどすぎない共感できるラインでかかれているなあと思います。

 

友人同士のマウンティングの様子も、がっつりメインでどろどろ描かれたら

食傷気味になってしまうけれど、コンパクトで、ちょっとひっかかるくらい。

 

「グッドモーニング」に対して、

「朝がいいものなわけがない(中略)

たぶん誰かが自分に言い聞かせるために言い始めたのだろうと思う。」(抜粋)

っていうのが、物凄く同意です。

その通りだと思います。

朝の目覚ましスヌーズしまくる感じとか、他にももろもろ

朝の仕事行きたくない感じがリアルすぎて頷きまくりでした。

 

旦那さんに愛を注ぎまくることにエネルギーを使うあまり、

職場の同性の同僚である自分に対して酷い態度をとる人に対して

「一枚上手」という感想がでてきまして。

「どこで誰に心の廃棄物を捨てれば適切か、よくわかっている。」(抜粋)

なるほどなあと唸ってしまいました。

誰にでも好かれたいと思ってしまう、できることなら誰にでも親切にしたいと

思ってしまうタイプなので、こういう考え方もありだなあと。

逆に、不当に嫌な態度をとられても、

この人はわたしが嫌いなけじゃなくて、私が悪いとかじゃなくて、

心の廃棄物捨て場を探してるだけなんだな、って思ったら気が楽かもしれませんね。

 

二人の主人公が初めて仕事であった直後に、ご飯を食べに入ったお店で

二つ隣の席に通されてしまって、間にいる人帰らないで!っていう

あの微妙な感じとかも、わかるわかるってなりました。

そして、最後2人の主人公が交わって終わるんだろうなあと、

どんなふうに?ロマンチックに?と思っていたら、

下手な鍵盤ハーモニカとまさかのEDの話。

力の抜ける感じで笑えてよかったです。

 

もう一つ入っていた短編も読みやすかったです。

終わり方が良かったな。

主人公の成長がわかりやすくて。