ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

この世にたやすい仕事はない/津村記久子 感想

久しぶりの津村さん。

以下、内容に触れます。

いろんなお仕事の小説。

それも、ちょっと不思議、というか

ありそうでなさそうでありそうなお仕事たち。

 

じぶんがするならどれかしら。

みはりのしごとは初めは楽しそうだけど動きがなさ過ぎて飽きそう。

もしくは対象者に感情移入しすぎてしまいそう。

路地を訪ねる仕事は怖い。

森の小屋での仕事もすぐ迷子になりそう。

おかきの袋はたのしそうだけど追い詰められそう。

バスのアナウンスが一番楽しそうかなー。

江里口さんもとても素敵な先輩だし。

 

「たぶん、悪い人でもないのだろうと思う。

まあ、職場の人間は、必要に応じて悪人になるので、常に悪い人というのもいないのだが」(抜粋)

なるほどなーと。

確かに、仕事が絡むと誰しも必要に応じて悪人になるのとても納得。

主観がどこにあるかで悪人になったりしやすいんですよね

仕事がらみって。

 

「どの人にも、信じた仕事から逃げ出したくなって、道からずり落ちてしまうことが

あるのかもしれない(中略)喜びが大きいからこそ、無力感が自分を苛むことも

たくさんあったように思います、その逆も」(抜粋)

しみる言葉。まじめに仕事に取り組むときほど

なんて自分は無力なんだろうと思ってしまうことありますね。

 

盛永さんがパタッといなくなってしまったのがちょっとショックで

また出てくるのかと思いきや出てこず。

でも江里口さんがまた出てきたのは嬉しかったです。

しかも仲良くなる形で。

しかもフラメンコセンターでお茶したりして。

 

決して仕事で命を削る必要はないと思うし

主人公には無理しないでほしいけど、

それでもやっぱりここだと自分が思うところがあるのなら

ほどほどに、それなりに、向き合いながら目をそらしながら

進んでいってほしいなと思いました。