ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

点をつなぐ/加藤千恵 感想

久々の加藤千恵さん。

一時期ハマっていて、いろいろ読みすぎて暫くいいかなー

と間が空いていたのですが、たまたま手に取ったら

「著者初の仕事小説」とのことで。

高校生歌人としてデビューっていうイメージが強かったので

社会人の話を書くのがすごく新鮮な感じで。

でももう三十代ですものね。

 

以下、内容に触れます。

 最近ちびちび読書しかできていませんでしたが、

これは一気読みしました。

薄いっていうのもありますが、面白かった!

 

自分の境遇が主人公と似ているので

共感できるシーンが多々。

 

この話の中に、誰もいわゆる悪い人、というか

悪意を持ってぶつけてくるような人はいないのですが、

それでもかかわることで後でざらっとした気持ちを抱えてしまう。

誰が悪いわけでもない、というか悪いのは自分なのだと思うけれど、

と考えて余計ざらりざらりとしてしまう主人公の、

だけどじゃあ自分がどうしたいのかどっちに進めばいいかもわからないという

そんな感覚に頷いてしまいました。

乗り気じゃないひとと首をかしげながらデートする感じとか

なんとなく見栄を張ってぼんやりにごした発言をしちゃったりとか。

いろいろありますねぇ。

 

点をつなぐ、というタイトルが良いですね。

私は今点をつないでいって、どんな絵を描いているんでしょう。

いつわかるのかな。

 

それにしても登場するコンビニスイーツが美味しそうで。

ナナジンジャープリン食べたい!!

最近のコンビニスイーツ美味しいですよね。

でも、29歳の主人公が、甘いものが人よりはもちろん好きだけど

でも昔の自分ほど好きじゃなくなって…

っていうところもひどく共感。それ、本当にそう。

 

藍田さん素敵な人。こんな人とお仕事できるのはとても幸せですね。

だけど、クリスマスイブに誘うのはちょっとどうかと思いますよ!

雪の日の時間つぶしのカフェとは意味合い変わっちゃいますから。

ちょっと思わせぶり!主人公が藍田さんのことを好きでなかったから

よかったものの、好きだったとしたら、もっとその気満々だったとしたら

あまりに罪深い…!!

 

巻末の対談の村田さんの「底の浅い希望みたいなものが全然なくて」

という褒め言葉、非常に的を射ているなと思いました。

ヒットも狙ったところではなく、芸能人の力で。恋が始まるわけではなく。

まあ、芸能人の力とは言え、その芸能人に美味しいと思わせたのは

他でもない主人公やその周りの人々の力なので

もっと奢ってもいいと思うんですけれど、まあ自分の立場だったら

うーんと思うところもきっとあるでしょうね。

 

応援したくなる主人公でした。

コンビニスイーツを買いに行きたくなる本でした。