ネットで石田さんの別の本を見かけて気になっていたけれど、
それが見当たらなかったのでこれを。
初めて読む作家さん。
以下、内容に触れます。
短編集。
うむむ、全体的にちょっと暗いなという感じ。
病がよく出てくる本ですね。
でも、悪化していって死ぬ直前とかじゃなくて、
発覚して恐怖心が湧き上がってくる頃で、
その後が描かれるわけではない。
なかなかこういう感じで書かれている話って珍しいなと。
本って自分の状況と近い話だと感情移入して読めることが多いけれど、
わたしも病を抱えて生きている人間だけれど
これはあまり近い気持ちにはなれなかったな。
話がぽんぽんととんで、状況が分からなくなることが何度か。
ちょっと読みづらさはあったけれど、でも実際人の思考って
こうかもな、と思わされました。
暗く考えていたことでも少し経ったら全く違う事に
思考がうつっていたり。
カーネーション。タイトルに書いてあるのに、
なぜかもっとふっくらした丸っこいお花を想像していました。
ひらひら系だったのね。
大踏切書店のこと、という最後のお話好きでした。
桜、二つの踏切、古本屋兼居酒屋。
なんだかとてもノスタルジックで美しい。
文章が、少し昔の本の書き方という感じで
本来わたしの苦手な文体に近いのだけど、
読みにくいわけでもなく、物語の雰囲気とマッチしていました。
全体的に人物の感情に近づきすぎることなく
白くくすんだフィルター越しに美しい色の映像が流れてるみたいな
お洒落なショートムービーみたいな
そんな雰囲気のある本でした。