ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

線は僕を描く/砥上裕將 感想

話題になっていた小説。

気になりつつも、人気で図書館の順番が回ってこず、やっと読めました。

 

以下、内容に触れます。

読み始めたところでは、冴えない主人公が才能を見出され、

美少女に怒られ、なんというかアニメ的というか映像的というか。

キャラクター性の強い小説なのかなと。

(実写映画化されるようですね)

 

ただ、読み進めていくとよい意味で地味なストーリーでした。

変な事件や派手さがなく、ただひたすら線に向き合っていく

登場人物たち。

嫌な人間も出てこず、真摯な姿を応援したくなるお話でした。

 

作品と精神や生き方との繋がりの話が強く描かれているのですが

それが不思議ときれいごとではなく「本当のことなんだな」と

思わされるような説得力があって、

これは相当取材されたんだろうなあ…と思って

作者さんを検索したところ、日本画家の方だったのですね。

そりゃ説得力あるはず!大納得です。

 

「自分自身の幸福で満たされているからじゃない。

誰かの幸福や思いが、窓から差し込む光のように僕自身の中に

映り込んでいるからこそ、僕は幸福なのだと思った(抜粋)」

しみじみする文章。

皆がこういう幸せをかみしめられる世の中であったらいいな。