ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

木になった亜沙/今村夏子 感想

毎度おなじみ今村さん。

以下、内容に触れます。

今村さんのお話はいつも思いもよらないなという感じですが、

この本はもう奇想天外と言いますか。

どうやって思いつくのか想像もできない。

 

人にずっと渡したものを食べてもらえない亜沙ちゃん。

今村さんのことだから、不憫な子に見せかけてこちらに大問題があるのでは、

と疑いながら読んでいましたけど、食べてもらえない理由に

ついては出てきませんでしたね。

的になった七未もだけど、なぜそんなことにっていう不幸で

理由が描かれないのってもやもやするけど、

実際の不幸って理由が明確にあるものばかりじゃないものなとも

思います。

 

木になった、って、樹木になるだけでもぶっ飛んでるなと思いましたけど

まさかの割りばし!

 

七未は、主治医が突然

「こんなに可愛らしい顔を傷つけるなんて……、僕にできるわけがないんだっ」(抜粋)

の突然の告白からの、交際からの、奥さんがいることがわかって

七未が妊娠して、までのスピード感がえげつなくて笑ってしまいました。

笑わせに来てるんじゃないだろうかとさえ思いました。

 

みんなのがんばれがんばれが、頑張って逃げろじゃなくて、

当たっておわれということだと気づいた七未。

当たっちゃえば楽になることって確かに世の中いっぱいあって、

必死で逃げ回ることがルールとして正解だとしても、

当たったほうが平穏を得られたりするもんで。

 

最後の話は、猫になったファンタジーととらえたらかわいいお話で、

でもたまに人間として接されてるシーンをぶち込んでくるから

不気味さがマシマシで。

今村さんの本じゃなければもうちょっとかわいい感じで

とらえられていたのかしら。