毎度おなじみ今村さん。
以下、内容に触れます。
今村さんのお話はいつも思いもよらないなという感じですが、
この本はもう奇想天外と言いますか。
どうやって思いつくのか想像もできない。
人にずっと渡したものを食べてもらえない亜沙ちゃん。
今村さんのことだから、不憫な子に見せかけてこちらに大問題があるのでは、
と疑いながら読んでいましたけど、食べてもらえない理由に
ついては出てきませんでしたね。
的になった七未もだけど、なぜそんなことにっていう不幸で
理由が描かれないのってもやもやするけど、
実際の不幸って理由が明確にあるものばかりじゃないものなとも
思います。
木になった、って、樹木になるだけでもぶっ飛んでるなと思いましたけど
まさかの割りばし!
七未は、主治医が突然
「こんなに可愛らしい顔を傷つけるなんて……、僕にできるわけがないんだっ」(抜粋)
の突然の告白からの、交際からの、奥さんがいることがわかって
七未が妊娠して、までのスピード感がえげつなくて笑ってしまいました。
笑わせに来てるんじゃないだろうかとさえ思いました。
みんなのがんばれがんばれが、頑張って逃げろじゃなくて、
当たっておわれということだと気づいた七未。
当たっちゃえば楽になることって確かに世の中いっぱいあって、
必死で逃げ回ることがルールとして正解だとしても、
当たったほうが平穏を得られたりするもんで。
最後の話は、猫になったファンタジーととらえたらかわいいお話で、
でもたまに人間として接されてるシーンをぶち込んでくるから
不気味さがマシマシで。
今村さんの本じゃなければもうちょっとかわいい感じで
とらえられていたのかしら。