むらさきのスカートの女が好きだったのでまたも今村夏子さん。
以下、内容に触れます。
むらさきのスカートの女に続いて、なんとも絶妙な不快感。
絶妙にざわつく!これ誉め言葉です。
あひるが簡単にすげかえられていくのも怖かったですが、
子どもがそれをわかっていて無邪気に聞いてきたところが
一番ゾッとしました。
あと、子どもが主人公を見つけて「人がいる!」って言ったところ。
主人公、だれかいるのー?家族の人―?って聞かれないような
空気を醸し出しているんでしょうね。
就職できていない(わりにあまり必死さの見えない)主人公や
宗教だったり暴力だったりなんか引っかかるところが、
そこを掘り下げずにさらーっといろいろ書かれているのが
今村さん特有のざわつきを生んでいて読みごたえがありました。
本当に、他にない読後感。不思議な文章です。
基本ハッピーエンドが好きなのですが、なんとなく
今村さんの描く不愉快さはザラつきはまた読みたくなるのです。
森の兄弟が美味しくないと思いながら食べるスイバ。
わたしも小学生の時美味しくないと思いながらも、
これは食べられる草と聞いて姉や友人と食べていた記憶があります。
懐かしい。すっぱまずいんだよね。
今村さん、まだまだ読んでみたいです。