ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

<新釈>走れメロス/森見登美彦 感想

久々に森見さん。

この本はよくおすすめされている気がしたので。

 

以下、内容に触れます。

山月記走れメロスは教科書で。

それ以外の藪の中、桜の森の満開の下、百物語は存じ上げなかったため

ネットであらすじ検索してから読みました。

本当は原作読んでからが良かったかもなと思いつつ。

 

森見さんの新釈ということで、全体的に走れメロスみたいな

あの腐れ大学生陽気ノリなのかなと思っていましたが

話によってかなり雰囲気が違って面白かったです。

そういえば森見さんはきつねのはなしみたいな不気味なのとか

ペンギン・ハイウェイみたいな爽やかなやつとかもあるものなあ。

 

斎藤先生の突き詰めた偏屈さが結構好きでした。

皆に嫌われているかと思えばそうでもなくて

本気で尊敬している人がいたり。

 

藪の中。みんな嘘をついているつもりはないんだろうけど、

主観とか、記憶のねじれで結局事実でないことを言っている人も

いるのだろうなと。

そういうことって往々にしてありますね。

でも何のかんので二人は愛し合っているのだなと。

 

走れメロスはおなじみの部活たちやあの乙女がいた学園祭(象の尻や達磨など)が

繰り広げられていて楽しかったです。

ちょっと手加減して殴られたがるところは笑ってしまいました。

お互いの良さとか清廉潔白さとかそういうところだけを信じない友情って

いいですね。

 

桜の森の満開の下も百物語も雰囲気があって、スルスル読めました。

 

いろんな人の、ストレートには伝わらないけど必死な思いが

たくさん描かれている本でした。