ゆるかん

赴くままにゆるゆるっとした感想を。観劇・読書など。残念ながら頭のいい考察などはできません。「私も読んだ!観た!」な方の感想聞きたいです。お気軽にぜひ。

ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~ 感想

2023/10/12 thu 岡山芸術創造劇場ハレノワ中劇場にて

 

新しい劇場に行ってみたくてチケットをとりました。

ノゾエ征爾さん初めてですがお名前は聞いたことがあったので

気になって。

 

以下、ネタバレありの感想です。

まず、ハレノワ、中劇場なのにすっごい座席に傾斜がついていて

高い!真ん中とか前の方でも、前の人に遮られず見やすい!

今回の舞台は特に、舞台の床が見えないと勿体ないので

もちろん舞台自体に傾斜もありましたが、

さらに見やすい会場だったのではないでしょうか。

 

始まり方にびっくりしました。

あんな、何の前触れもなく主役が出てきて、しばらく客席

ざわざわしてる、みたいな。

あの前触れのなさが今回のメイン事件(言ってしまえば誘拐?)の

傍から見た唐突さと同じなのかもしれない。

 

チョークをつかう演出もわくわくしたけれど、初めの太郎役竜星さんの動きの

ピエロっぽさにワクワクしました。

中盤の、リクライニングベッドのマイムの時の動きもわかりやすく

すごかったんですけど、最初の動きの中での寝起きが、

操られ感と言うか、力を入れていることを感じさせない動きと言うか。

 

まちこ役の高橋惠子さん、認知症の演技がとてもリアル!

はじめはなんだか可愛らしくて、でもだんだん手に負えなくなってきて、

好きなのに苦しくてその瞬間はどうも憎くて、太郎の葛藤が

まちこのリアルさで引き立ってました。

 

菅原永二さん、出るの知ってたのに、最初わからなかったです。

イエローカーディガンって先生が付けられそうなあだ名過ぎて

笑っちゃいました。

この先生夫婦の問題とか、太郎の兄夫婦の問題とかもだし、

ご近所のゲーマーの火事とか特に、

観ている間は色んな事がとっ散らかっているなあと、

もう少しメインの所に集中しても…と思いました。

でも、観終わってから、この、あっちでもこっちでも、

見えないところで簡単に地獄が展開されていることこそが

この舞台に必要なことだったのかなと。

 

上司の花丸役、青柳翔さん。

演技としてともすればやりすぎな感じなのに、浮かず、

絶妙に気持ち悪くて、でもちゃんと笑える、

すごいバランス感覚の役者さんだなーと。

初めて拝見したのですが、面白い俳優さんでした。

 

チョークの文字たちは残されて行っているから最後

どうなるのかなーと思っていましたが、

タイトル回収だったのですね。

面白いけど、なんとなくもうちょっと大きな仕掛けを

期待してしまっていました。

 

バスに乗れない子は、初め何なのかなと全然わからず、

クライマックスになっても解き明かされないので

あれ…?と思っていたら最後の最後でバスに乗れましたね。

バスに乗れた少女はよかったね、という感じだけど、

その後みんなで歌うときに、太郎だけずれる。

太郎だけ馴染まない。

コメディ的な笑いどころ、でもあるのかもしれないけれど、

少女がバスに乗れた、馴染めたことの直後に

スーツを着ても皆と同じにできない太郎のしんどさ、

だけど傍から見たら少しのおかしみ、という部分が見える終わり。

それでもあきらめずにトライする太郎を応援したくなります。